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第6回「私の事務所のIT革命」 連載文(その3)
山口利昭法律事務所  山口 利昭(やまぐち としあき)

 皆さん、こんにちは。連載といいながら、前回の記事から半年以上が経過してしまった。その間、壇先生のウイルス講座なる、とびきり有用な記事を掲載していただいたので、安心してしまっていた。またまた私の事務所の革命記事を連載していこうと思う。

 少し時間が開いたが、私の事務所の形態は前と何ら変わっていない。弁護士1名、事務職員1名(正確には1.5名というべきか)、パソコン3台、プリンター2台。仕事の量は破産管財事件が増えたために、若干繁忙ぎみと言ったところであろうか。
 以前の記事をお読みでない方に申し上げておくが、私はほとんどパソコンやいわゆるIT(インフォメーション テクノロジー)というものに興味がなく、今もそうである。したがって以前から、このべんべんネットに愛着を抱いておられるパソコンユーザーの方々にはかなり退屈な話かもしれない。しかしながら、もはや現在の法律実務をこなしていくうえで、もはやコンピューターシステムの導入は不可避であることは現実であるし、興味のない人間も避けて通れないところまで来ているのは事実である。そんな素人の視点からITを捉えているので、どうかご容赦ねがいたい。


 さて、前回は事務所のパソコン3台が有線LANで繋がったところまでを述べたが、その後は事務所の仕事に変化が生じたのであろうか?
 答えはNOである。そりゃそうである。いくら事務所のパソコンがLANで繋がったといっても、それを扱う人間が進化していないのだから。また、それを扱う人間がパソコンクラッシュの危険性をこれっぽっちも認識していないのだから。
 まず、私と事務職でのお約束ごとは、かならずそれぞれのパソコンで作成した書面は、その日の最後にサーバー役のパソコンにデータを保存しておくことであった。これは何もむずかしいことではない。SEの谷川氏がアイコンを作ってくれていたので、終了間際にポンとクリックすれば、その日のデータを全てサーバーにバックアップできるのである。つまり前の日までのデータと本日のデータが異なれば瞬時のうちに更新できるのである。しかし、こんな簡単な約束事すら、ハードディスクの動作困難という事態が発生するまで、日常の習慣にはなりえなかった。痛い目にあって初めて慣行されるようになったのである。書面作成をパソコンに頼っている事務所では、もし何らかの理由でハードディスクが破損もしくは動作困難となった場合、悲劇である。我々弁護士の知的作業の産物である準備書面がどこにも見あたらない、という事態になれば、これは時間と労力の相当な損失であろう。冷や汗をかいた経験のある方々も多いと思われる。私もそれまでは自分の書いた書面はほとんど100MBのフロッピー(マイナーであるが)を外付けして保存していた。しかしサーバー用のパソコンを設置してから、安心してしまいデータのバックアップをおろそかにしていたところ、事務職のパソコンが動作しなくなり、破産管財業務用の書面が出てこなくなった。最悪の事態は避けられたが、この事件以来、事務所でのバックアップ作業は必ず行う習慣が事務職、弁護士についた。

 つぎに更新に関する約束事である。事務職が私のパソコン、私が事務職のパソコンの中身をさわるわけであるから、更新の約束事が徹底していないと、無駄が発生したり、ミスが発生する。これは意外と遠慮してしまうものである。単に自分のパソコンへ相手の作成書面を取り込んでしまえば済むのかもしれないが、いちいち面倒である。LANで情報を共有する以上、一つのソースを数名の人間が共有して加工するのが最も効率的である。そこで一つのファイルを作成して、ここに弁護士と事務職の更新情報(およびその他の一般の連絡事項なども含めて)を書き込むようにした。これこそ面倒なような気もするが、毎日の日課として約束事が出来上がってしまえば、それほど苦になることではない。このことが習慣となることで、やっと事務所のLAN構築の意味が少しずつ理解できるようになっていった。
 大きな事務所で、若手のパソコン通の弁護士が、事務所のシステム導入の啓蒙役を果たすことが可能であれば、このような態勢も出来上がっていくのであろう。しかしながら、うちのように全くの素人だけの事務所で、上記のようなお約束事が出来上がるのは困難であった。すべて顧問SEの谷川氏による根強い説得の賜物であった。

 その他、FAXのペーパーレス化も今では機能を発揮している。発信は用紙を残している意味が大きい場合があるので、基本的には変わっていないが、受信は全てペーパーレスであり、パソコン画面でFAX内容を確認したうえで、必要なものだけ打ち上げる。また印刷しなくても、とりあえず残しておこうと思えば、バックアップサーバ用のパソコンに保存しておく。とりわけ破産管財人をやっていると、業者からのチラシなど、FAX文書の量はたいへんなものである。ピックアップする文書を選択できるというのは、これからの事務所においてもかなり有用ではないかと思われる。ただ、このペーパーレス化にも短所がある。いくら保存可能といっても、保存された情報がいったいどんな内容なのかは、開けてみないとわからない。もちろん、小さくサムネイルのように表示することは可能だが、書面内容を一覧することは困難である。いつ頃届いたFAXだったか記憶を頼りに探し出すことは、あまり有用とは言えない一面である。(なにか具体的な改善策があれば教えていただきたい)
さて、ここから先は、若干、人間が進歩した後に、構築されたLANとどのように向き合っていったかを報告する

(つづく)

 連載の途中ではあるが、LAN導入後1年が経過した感想を、今回少し触れてみたいと思う。
 弁護士にとって、日々の業務に追われていると、事務所のパソコンのIT構築改善に時間を割くことは、よほどのシステムへの興味でもなければ困難である。また、弁護士の仕事は人間相手の仕事であって、コンピューターの開発の速度とはかなりの開きがあるため、相当にパソコンに詳しい弁護士であっても、その技術進歩に追いつけない状況にある。
 そこで、やはり私は専門家の技術をお金で買うべきだと思う。システムへの人間の対応の向上、セキュリティ確保のための技術導入など、専門家による労務提供は不可避である。ただ、現在のところ、その専門家の技術が良質なのかどうかを計る物差しがないし、その相場も不明である。したがって、今後はこのような専門家の市場価格が確定されるべきではあろうが、いずれにせよ、これからの弁護士事務所のシステムの導入、向上には一考に値する問題である。特定の顧問SEに1年以上にわたり顧問料を払い、毎月そのシステムの点検、向上に尽力してもらっている私にとって、これは偽らざる心境である。
 
 
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