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第4回「私の事務所のIT革命」 連載文(その2)
山口利昭法律事務所  山口 利昭(やまぐち としあき)

 1月の第一回の連載記事を書いたあと、たまたま大阪弁護士会のパソコンに関するアンケート調査結果を目にした。するとそこには、私が予想だにしていなかった回答結果があった。約130名ほどの弁護士が回答しているのだが、事務所において何らかの形でLANを構築している、と回答していた弁護士がなんと70%にも上るではないか!

 「はたして、この連載記事はタイムリーなんだろうか・・」私の脳裡に不安がよぎった。しかしながら、きっとこのアンケートに回答している方々は元来パソコンに造詣の深い方ばかりだから、このような結果になったんだとなかば勝手に決めつけて、この連載を続けようと思い直した次第である。

 さて、谷川氏(私がLAN構築を依頼したシステムエンジニアの先生)は半日ほどかけて、まず私の事務所のパソコンを調査した。そして配線関係や事務所のパーテーションについても綿密にスケッチしていった。同時に、谷川氏は、私にパソコンで何がしたいか、と何度も質問をした。ほとんど遊びの要素しかパソコンに要求してこなかった私にとって、谷川氏への回答はほとんど浮かばなかった。自分でパソコン同士をつなぐというイメージを一度ももったことがない私にとって、谷川氏の質問はそもそも難しすぎた。「それじゃ、先生のほうで、一度事務員さんと、LAN構築によってどんな仕事をどんなふうにやってみたいのか考えといてください。もし具体的なイメージがわかないときには、こちらからヒントを出しますので・・・」という具合だった。

 弁護士1名、事務職1名の私の事務所で、なにか書面や図表のやりとりを行うためにはフロッピー1枚あれば十分である。印刷するのも、私のパソコンからフロッピーで引き出して、これを事務職に渡す。そして事務職に印刷してもらう、ということでこの7年間やってきた。スケジュール管理は、私がスケジュールの変更を口頭で事務職に告げ、これを事務職がメモする。これって、何か不足があるだろうか・・・あまり、不便を感じない。

 したがって、谷川氏にどんなものを作ってもらうか、ということについて、それほど熱望したものはなかった。強いてあげるとすれば、FAXのペーパーレス化、WEB上に共同事務所を構築するといったことであろうか。(WEB上に共同事務所を設置するという構想は、この当時はまだ現実化していなかったが、レンタルサーバー契約を締結している現在は、すこしずつではあるが現実化している。またたとえばIPアドレスを保有する人間だけが、このWEB上の事務所に書き込み、訂正などができるソフトつまりほとんどネットの知識をもたない人間でも簡単に双方向でアクセスできるソフトも、もうすぐ市販されるようである。エクスプローラーやネットスケープのようなブラウザソフトだと考えていただければよいと思う)ただ、それぞれのパソコンが情報を共有することについては、漠然とした利便性だけを感じていたにすぎない。

 このあたりから、谷川氏は私のことを「本当にパソコンについてはど素人であり、あまり興味がない」と認識したようだった。つまり7年もパソコンをいじっているわりには進歩のあとが見られないタイプだと認識されたようである。(しかしこの人は冷静な人だ。なにがしたいのかわからない・・・と逡巡する私を目の前にして、辛抱強く弁護士の業務内容、事務所の仕事の手順などを詳細に事情聴取していた)そこで、谷川氏はさまざまなオフィスでシステムを構築した経験をもとに、具体例をあげながら、どういったシステムを構築したいか、その粗スケッチを連想させようとした。そのなかで、ひとくちにLAN構築といっても、重点の置き方が様々であることが理解できた。そこで私がビジネスとして利用するために優先すべきと考えたのが情報蓄積の安定性とセキュリティであった。せっかく事務所内においてLAN構築をはかる以上、まず作成した情報や蓄積した情報を安定的に確保すること、そして外部からシステムに何らかの働きかけがあったとしても、それを極力排除できるシステムを確保すること、これらに最も重点を置いて構築することにした。

 もちろん、採算面も重要である。私は谷川氏には失礼であるが、あまり興味のないことにお金をかけたくなかった。いま事務所に存在するパソコン以外に新しいハードを導入する気は毛頭なかった。そのことはまず谷川氏にはっきり最初に申し伝えてある。したがって、現在稼働しているパソコンはもともと事務所で独立して働いていた3台である。(ウインドウズ98 99年式2台いずれもノートパソコン ウインドウズ95 99年式リース物件 ディスクトップ)そしてプリンター1台もリースで稼働していたものである。(リース導入後3年経過しているものであり、FAX、コピー、プリンター共用機)あと1台のプリンターは、カラープリンターが可能なキャノンPIXUS500(ソフマップにて2万円で購入したもの)である。

 そして、新たにLAN構築にあたって購入したものは、ブロードバンドルーター1台、LANカード2台、FAXソフト、ウイルス駆除ソフト、その他各ハード接続用のカードやコードなどである。

 パソコンやシステムに詳しい先生方には申し訳ない。たいへん、おおざっぱな説明であり、これが素人というものなのかもしれないが、とりあえず、各パソコンが有線でつながって各パソコンの中身がそれぞれ覗ける仕組みができあがり、どのパソコンからも、2台いずれのプリンターから打ち出せる仕組みである。また、FAXはどのパソコンからも受領した瞬間に内容を確認することができ、不要であればすぐに画面上で削除することができる。こちらから送信するときも画面から相手の事務所のFAX機をプリンターがわりに利用するための信号を発信する、というものである。無線にせず、有線としたのは、やはり速度を重視したからである。もちろん一部無線LANにすることも可能な設定になっているが、3台のパソコンは有線でつなぐことにした。おそらく、常時60Mbps程度の速度は出ていると思われる。

 しかし、自分のパソコンの中身が他の人に覗かれる。これは遊びに利用することの多かった私にとっては、少し気持ちの悪い話である。たしかに覗かれる範囲を「共有」として制限しているのだから、全部が覗かれるというわけではない。でも、パソコンをLANで構築するということは、なんだか少し自分のパソコンが遠くへ行ってしまうような気分がした。あくまでもビジネス重視での構築・・という意識が次第に私のなかに出てきたことは確かであった。
谷川氏は、1月13日から15日まで、3日かけて私の事務所の配線、パソコン接続、パソコンの調節を行い、とりあえず1月15日夕方、私の事務所では初めてのIT化が図られたのであった。しかし、我々事務所の人間のIT化は、ここから始まるのであり、悪戦苦闘の日々が、待っていたのである。

(つづく)

 
 
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